1部 ファンド情報
1章 ファンドの状況
1. 投資法人の概況
1) 主要な経営指標等の推移
(1)【主要な経営指標等の推移】
① 主要な経営指標等の推移
(注1)「1口当たり当期純利益」は、当期純利益を期間の日数による加重平均投資口数で除することにより算出し、小数点未満を四捨五入して記載しています。
(注2)特に記載のない限りいずれも記載未満の数値については、金額は切捨て、比率は小数第2位を四捨五入して記載しています。
(注3)以下の算定式により算出しています。
② 運用状況
(ア)当期の概況
a.投資法人の主な推移
本投資法人は、「投資信託及び投資法人に関する法律」(昭和26年法律第198号。その後の改正を含みます。以下「投信法」といいます。)に基づき、株式会社エスコンアセットマネジメント(以下「本資産運用会社」といいます。)を設立企画人として、2016年8月26日に設立され、2019年2月13日に株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)不動産投資信託証券市場に上場(銘柄コード2971)しました。
その後、本投資法人は、人口減少と大都市圏への人口集中がより一層進む中で、生活利便性の高い大都市及び大都市へのアクセスが容易な周辺地域に住むニーズは今後も安定的であり、そのような地域に住む人々の豊かな暮らしを支えるためには、商業施設(注1)、住宅(注2)及び地域コミュニティが抱える少子高齢化問題、環境・エネルギー問題、労働・教育問題、自然災害がもたらす問題等の暮らしの中に存在する多種多様な社会問題の解決により、持続可能な社会の実現に資する資産が必要であると考え、これらの資産を「暮らし密着型資産」(注3)と定義し、主に五大都市圏(注4)に所在する暮らし密着型資産を投資対象とし、その投資方針のもと、運用資産のより着実な成長を目指し、投資主価値の最大化を図っています。
なお、当期末時点で本投資法人が保有する資産は39物件、取得価格総額は74,218百万円となっています。
(注1)「商業施設」とは、不動産を構成する建物の各用途の床面積のうち、商業テナント(物販・飲食・サービス業、アミューズメント施設等)向けの用途の床面積が最大である不動産をいいます。以下同じです。
(注2)「住宅」とは、不動産を構成する建物の各用途の床面積のうち住居用の床面積が最大である不動産(ただし、持続可能な社会の実現に資する資産を除きます。)をいいます。以下同じです。
(注3)「暮らし密着型資産」とは、商業施設、住宅、持続可能な社会の実現に資する資産をいい、底地を含みます。なお、「底地」とは、第三者が賃借してその上に建物を所有している土地をいいます。以下同じです。
(注4)「五大都市圏」とは、「北海道圏」、「首都圏」、「中部圏」、「近畿圏」及び「九州圏」をいいます。なお、「北海道圏」とは、北海道を、「首都圏」とは、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県及び群馬県を、「中部圏」とは、愛知県、静岡県、三重県、長野県及び岐阜県を、「近畿圏」とは、大阪府、京都府、兵庫県、奈良県及び滋賀県を、「九州圏」とは、福岡県、熊本県、鹿児島県、宮崎県、大分県、佐賀県及び長崎県をそれぞれいいます。以下同じです。
b.運用環境と運用実績
当期における我が国経済は、米国の通商政策への警戒感や金利上昇局面への移行といった不透明感はあるものの、設備投資の堅調な推移にも支えられ、緩やかな回復を維持しました。雇用面では高い水準での賃上げも継続しており、こうした雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が、今後の緩やかな回復を後押しすることが期待されています。不動産投資マーケットにつきましては、日銀による追加利上げ後においても、国内外の投資家による不動産の投資意欲は高い状況が続き、賃料上昇が見込める案件を中心として多くの取引が成立するなど、活発な状況が継続しています。
J-REIT市場においても東証REIT指数についてはオフィスビルを中心とした良好な不動産賃貸市況や国内外株式の堅調な動向を背景に、底堅く推移した一方で、国内金利の先行きに対する更なる上昇懸念や地政学リスクの高まりを受け、マーケットはやや弱含む展開となっています。
このような環境のもと、本投資法人は、2025年1月期の決算発表時に公表した本投資法人のロードマップにおけるフェーズⅢ(2025年7月期及び2026年1月期)の取組み方針に掲げる「インフレ耐性の強化に資する物件への厳選投資」の一環として、本投資法人初の都心ホテルアセットとなる「ナインアワーズウーマン新宿」(下記)を取得しました。本物件は変動賃料形態を採用しており、ホテルの収益向上を直接享受することが可能です。
さらに、既存物件の運営については、現行の賃料水準とマーケット賃料との間に乖離が生じているテナントに対し、契約更改時にギャップを解消する交渉や歩合賃料の導入を行うとともに、底地案件についても賃料増額交渉を推進しました。また、コスト削減策として電気料金単価及びエネルギー使用量の見直しによる水道光熱費の改善の取組み等を実施し、投資法人全体の収益性向上に努めました。
取得物件
(注)「取得価格」は、取得資産に係る信託受益権売買契約書に記載された信託受益権の売買代金(消費税及び地方消費税並びに取得に要した諸費用を含みません。)について、百万円未満を切り捨てて記載しています。
このような運用の結果、本投資法人の当期末の運用資産は39物件、取得価額合計で74,218百万円、稼働率は99.0%(注)となりました。
また、本投資法人は、2025年10月に2025年GRESBリアルエステイト評価において、総合スコアのグローバル順位により5段階で格付されるGRESBレーティングで「1 Star」を取得しました。さらに、ESG推進のための方針や組織体制等を評価する「マネジメント・コンポーネント」と保有物件での環境パフォーマンスやテナントとの取組み等を評価する「パフォーマンス・コンポーネント」の双方において50%以上の得点を取得した参加者であることを示す「Green Star」の評価を5年連続で獲得しました。本投資法人及び本資産運用会社は、商業施設等を中心とした暮らし密着型資産の運営を通じてのESGへの取組みが投資主価値向上に寄与するという認識のもと、環境負荷低減や地域コミュニティの活性化等の取組みを推進しています。
(注)稼働率については、当期末現在の「賃貸面積」÷「賃貸可能面積」×100により算出し、小数第2位を四捨五入して記載しています。
c.資金調達の概要
当期は、2025年12月1日付で上記「ナインアワーズウーマン新宿」の取得資金及び関連費用に充当することを目的として、2,700百万円の新規短期借入れを行いました。さらに、返済期限の到来した借入金7,797百万円の借換え資金に充当するため、2026年1月30日付で合計額の7,797百万円の長期借入れを行いました。これらの結果、当期末時点の有利子負債残高は36,951百万円、総資産のうち有利子負債が占める割合(以下「LTV」といいます。)は45.6%となっています。
本投資法人は、株式会社格付投資情報センター(R&I)から「A-(安定的)」の発行体格付を取得しており、今後も資金調達の機動性の確保と安定した財務運営を進め、信用力の更なる向上を目指します。
d.業績及び分配の概要
前述の運用の結果、当期の業績は、営業収益3,032百万円、営業利益1,615百万円、経常利益1,304百万円、当期純利益1,303百万円となりました。
また、分配金については、本投資法人の規約に定める分配の方針に基づき、投資法人の税制の特例(租税特別措置法(昭和32年法律第26号。その後の改正を含みます。以下「租税特別措置法」といいます。)第67条の15第1項)の適用により、投信法第136条第1項に定める利益の概ね全額である1,303百万円を利益分配金として分配することとし、この結果、投資口1口当たりの分配金は3,615円となりました。
e.本投資法人と本資産運用会社のガバナンス体制について
本資産運用会社は、機関設計を2022年6月28日付で監査等委員会設置会社に変更し、2022年8月31日付で制定したコンプライアンス宣言及び2022年9月26日付で制定した経営理念のもと、物件取得等の運用フロー、不動産鑑定評価の発注業務ルール、各種規程類やマニュアル、コンプライアンス部による不動産鑑定評価発注業務モニタリング等の各種運用ルールの遵守、利益相反に係るコンプライアンス態勢を継続的に向上させるための各種研修及び習熟度テストの実施等、様々な施策を実施しており、本投資法人の運用に係るより強固なガバナンス体制を構築しています。
また、本投資法人の役員会は、本資産運用会社とは特別の利害関係のない執行役員1名及び監督役員2名により構成される体制としています。
本投資法人と本資産運用会社は、上記のとおり、投資法人の運用体制の健全性を高め、積極的にガバナンス体制の有効性の向上に継続的に努めています。
なお、当期における本投資法人及び本資産運用会社の各種会議体の活動状況は以下のとおりです。
(ⅰ)本投資法人の役員会の活動状況
当期における本投資法人の役員会は6回開催されており、執行役員及び監督役員2名の出席状況について、6回開催のうち6回ともに役員3名全員が出席しました。
(ⅱ)本資産運用会社の取締役会及び監査等委員会の活動状況
(a)取締役会の活動状況
当期における本資産運用会社の取締役会は7回開催されており、その出席状況について、7回開催のうち7回ともに取締役6名全員が出席しました。
(b)監査等委員会の活動状況
当期における本資産運用会社の監査等委員会は6回開催されており、監査等委員である取締役3名の出席状況について、6回開催のうち6回ともに監査等委員である取締役3名全員が出席しました。
(ⅲ)本資産運用会社のコンプライアンス委員会の活動状況
当期における本資産運用会社のコンプライアンス委員会は3回開催されており、外部の委員を含むコンプライアンス委員4名の出席状況について、3回開催のうち3回ともに委員4名全員が出席しました。
また、事前の情報共有及びコンプライアンス委員会における議案の事前説明を目的として、別途1回の会議を開催しました。
(ⅳ)本資産運用会社の投資運用委員会の活動状況
当期における本資産運用会社の投資運用委員会は8回開催されており、外部の委員を含む投資運用委員6名及びコンプライアンス・オフィサーの出席状況について、8回開催のうち7回は、委員6名及びコンプライアンス・オフィサー1名の計7名全員が出席し、うち1回は委員5名及びコンプライアンス・オフィサー1名の計6名が出席しました。
また、事前の情報共有及び投資運用委員会における議案の事前説明を目的として、別途1回の会議を開催しました。
(イ)次期の見通し
a.運用全般に関する見通し
我が国の経済見通しについては、賃金上昇により個人消費が増加するとともに、成長投資のための企業の設備投資が増加することで、引き続き緩やかな成長が続くと予想しています。一方で、海外の情勢及び経済動向の不確実性、金融市場の変動等の影響について注視が必要と考えています。
不動産投資マーケットは、金融機関の積極的な融資姿勢が継続していることや、建築費高騰による新規物件の供給減少等を背景に賃貸マーケットが強含みで推移していることから、今後も引き続き堅調に推移するものと予想しています。
このような環境認識のもと、本投資法人は、今後の不動産投資マーケット市場の動向を注視しながら、資産入替と外部成長を通じてポートフォリオのインフレ耐性の強化と収益性向上を図る方針としています。
外部成長については、賃料上昇が見込まれる不動産への投資機会を積極的に捉えつつ厳選投資を推進し、内部成長については、インフレ環境下での賃料引上げと稼働率の維持・向上、コストの抑制等を通じて、安定運用と収益力の一層の向上に引き続き注力します。財務運営においては、金利上昇局面にある中、LTVの適切なコントロール、有利子負債の返済期限の分散を踏まえた財務基盤の構築に努めます。
以上の取組みにより、着実な成長戦略を推進し、更なる投資主価値の極大化を目指します。
b.賃貸収益の成長性を追求した内部成長
本投資法人は、保有資産の運用改善に活かすべく、保有資産にご来館いただいている近隣にお住まいの方々や各テナントに対し、施設利用に関する満足度調査を実施しています。この結果を基に、潜在的なニーズを含め、施設の利便性や快適性、利用頻度の向上に加え、物件やエリアの認知度の上昇等を目指した施策を立案実行し、下記(ⅰ)及び(ⅱ)に記載の取組みにより保有資産の着実な内部成長を図ります。
(ⅰ)賃貸収益向上の取組み
本投資法人は、賃貸市場や施設全体のテナント構成等を考慮した早期かつ最適なテナント誘致や催事の開催等による集客力及び賃貸収入の向上、賃貸管理に係る各種維持管理費用等の定期的な見直し、テナント及び来館者の満足度向上の取組みの実施等、保有資産ごとに適切な運営管理を実施することにより、ポートフォリオ全体の賃貸収益の維持向上を目指します。
(ⅱ)資産価値向上の取組み
本投資法人は、資産を中長期的に保有するに当たり、保有資産の経年劣化や、地域・立地特性及び顧客需要の変化による資産価値の減少は避けられない課題と考えています。日常的な清掃や設備メンテナンスに加え、長期修繕計画に基づく修繕・更新工事の実施、スポンサーと協働した保有資産の建替えやリニューアル、保有資産のブランディング等により物件競争力を向上させ、資産価値の向上を目指します。また、かかる方針に従い、商業施設に関しては来館者満足度調査やテナント満足度調査の結果も踏まえ、バリューアップ工事を積極的に行い、物件の魅力を高めていきます。
c.ポートフォリオの安定性と成長性を追求した外部成長
本投資法人は、総合デベロッパー(注)であるエスコンの不動産開発力に基づく、保有不動産物件に係る優先交渉権の付与、運用資産の再開発サポート等の強固なスポンサーパイプラインの活用に加え、中部電力グループ(中部電力株式会社、その子会社及び関連会社をいいます。ただし、エスコン、その子会社及び関連会社は除きます。以下同じです。)との連携による、ウェアハウジング機能の提供、セイムボート出資、環境配慮技術及びエネルギーコスト低減に関するノウハウの提供を中心とするサポートについて、利益相反管理を徹底した上で最大限活用します。また、スポンサーであるエスコン及び中部電力グループに加え、外部の物件情報を継続的に取得することにより、第三者からの良質な物件取得も積極的に行い、本投資法人の資産規模拡大及びポートフォリオの良質化を目指し、着実な外部成長を図ります。
(注)「総合デベロッパー」とは、分譲マンションや戸建住宅、商業施設、ホテル、物流施設等の不動産の多面的な開発事業を展開するデベロッパー、すなわち、開発全般を総合的に事業として取り組む姿勢を持った開発業者であることを言い表す用語として本書において用いています。
d.財務方針
本投資法人は、中長期的な安定的収益の確保及び資産価値の着実な向上のため、安定的かつ健全な財務運営を実現するための資金調達を行っていきます。
新投資口の発行は、運用資産の規模の成長と収益性の向上を目的として、LTV、既存投資主の権利の希薄化及びそれに伴う投資口の取引価格の低下等を勘案し、金融環境を踏まえた上で実施を決定します。
資金の借入れ及び投資法人債(短期投資法人債を含みます。)の発行に際しては、資金調達の機動性と財務の安定性のバランス及び取得する不動産の特性等に配慮した資金調達を行います。具体的には、調達方法(借入金・投資法人債)、長期借入比率、固定金利比率、返済期限の分散、担保提供の要否等を検討します。
LTVは、保守的な水準を維持することを基本とし、原則として50%を上限とします。
また、保有するポートフォリオにおける資金需要を常にモニタリングし、的確に把握して、効率的かつ適切なキャッシュ・マネジメントを行うものとします。
(ウ)決算後に生じた重要な事実
a.資産の取得について
本投資法人が資産の運用を委託する本資産運用会社は、2026年2月10日付で以下の資産の取得を決定し、本投資法人は、同日付で信託受益権売買契約を締結し、2026年2月27日付で資産を取得しました。
(注1)取得時点においては「コンパスホテル名古屋」の名称で営業していますが、2026年7月期中を目途に実施予定のリブランド(ホテルの名称変更、オペレーターの変更及び戦略的なCAPEXの実施等の組み合わせによるブランドの再構築等をいいます。以下同じです。)後は、名称を「SONO MOON Nagoya(仮称)」に変更する予定です。以下同じです。
(注2)「取得価格」は、取得資産に係る信託受益権売買契約書に記載された信託受益権の売買代金(消費税及び地方消費税並びに取得に要した諸費用を含みません。)について、百万円未満を切り捨てて記載しています。
(注3)「鑑定評価額」は、2025年12月1日を価格時点とする不動産鑑定評価書に記載された評価額を記載しています。なお、上記資産の鑑定評価については、株式会社谷澤総合鑑定所に委託しています。
b.資産の譲渡について
本投資法人が資産の運用を委託する本資産運用会社は、2026年2月10日付で以下の資産の譲渡を決定し、本投資法人は、同日付で信託受益権売買契約を締結し、2026年3月27日付で資産を譲渡しました。
(注1)「譲渡価格」は、譲渡資産に係る信託受益権売買契約書に記載された信託受益権の売買代金の合計額(4物件)について、百万円未満を切り捨てて記載しています。なお、売買代金には消費税及び地方消費税並びに譲渡に要する諸費用を含みません。
(注2)「帳簿価額」は、譲渡日時点の帳簿価額(譲渡に係る関連費用を計上しています。)について、百万円未満を切り捨てて記載しています。
(注3)「譲渡損益額」については、「譲渡価格」と「帳簿価額」の差額として算定された参考数値であり、実際の譲渡損益とは異なる場合があります。なお、百万円未満を切り捨てて記載しています。
(注4)譲渡先から個別の譲渡価格の開示に関する承諾を得られていないため、「譲渡価格」及び「譲渡損益額」については、4物件の合計で記載しています。なお、個別の譲渡価格は、譲渡日時点における帳簿価額及び当期末(2026年1月31日)時点の鑑定評価額をいずれも上回っています。
(注5)譲渡資産の譲渡は、金融庁の定める「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」に規定される投資法人によるフォワード・コミットメント等(先日付での売買契約であって、契約締結から1ヶ月以上を経過した後に決済・物件引渡しを行うこととしているものその他これに類する契約をいいます。)に該当します。
(注)譲渡先は国内の一般事業会社(1社)ですが、当該譲渡先より開示の承諾を得られていないため、非開示としています。
c.資金の借入れについて
本投資法人は、上記「a.資産の取得について」に記載の不動産信託受益権の取得資金及び関連費用に充当するため、以下の資金借入れを実行しました。なお、本借入金のうち2,300百万円については、上記「b.資産の譲渡について」に記載の不動産信託受益権の譲渡時に、期日前弁済を実施しています。