1部 ファンド情報
1章 ファンドの状況
1. 投資法人の概況
1) 主要な経営指標等の推移
(1)【主要な経営指標等の推移】
① 主要な経営指標等の推移
期
第22期
第23期
第24期
第25期
第26期
決算年月
2021年12月
2022年12月
2023年12月
2024年12月
2025年12月
営業収益
百万円
13,633
14,912
26,574
33,481
45,564
(うち不動産運用収益)
百万円
(10,374)
(14,912)
(26,574)
(33,481)
(43,218)
営業費用
百万円
10,673
10,616
11,560
12,701
14,511
(うち不動産運用費用)
百万円
(8,830)
(8,796)
(9,466)
(10,322)
(11,565)
営業利益
百万円
2,959
4,296
15,014
20,779
31,052
経常利益
百万円
1,298
2,672
13,135
18,273
26,748
当期純利益(注1)
百万円
1,296
2,671
13,134
18,272
27,145
総資産額
百万円
394,323
396,799
429,955
498,930
576,683
(対前期比)
(%)
(△1.5)
(0.6)
(8.4)
(16.0)
(15.6)
純資産額
百万円
221,542
223,574
244,980
283,402
293,114
(対前期比)
(%)
(0.2)
(0.9)
(9.6)
(15.7)
(3.4)
出資総額
百万円
187,194
187,194
199,051
232,708
232,708
発行済投資口の総口数
口
4,467,006
4,467,006
4,637,006
5,097,006
5,097,006
1口当たり純資産額
円
49,595
50,050
52,831
55,601
57,507
1口当たり当期純利益(注2)
円
290
598
2,909
3,755
5,325
分配金総額
百万円
1,634
3,046
13,980
20,066
25,795
1口当たり分配金額
円
366
682
3,015
3,937
5,061
(うち1口当たり利益分配金)
円
(366)
(682)
(3,015)
(3,937)
(5,061)
(うち1口当たり利益超過分配金)
円
(―)
(―)
(―)
(―)
(―)
総資産経常利益率(注3)
%
0.3
0.7
3.2
3.9
5.0
自己資本利益率(注4)
%
0.6
1.2
5.6
6.9
9.4
自己資本比率(注5)
%
56.2
56.3
57.0
56.8
50.8
(対前期増減)
(0.9)
(0.2)
(0.6)
(△0.2)
(△6.0)
配当性向(注6)
%
126.1
114.0
106.4
109.8
95.0
[その他参考情報]
NOI(注7)
百万円
6,366
10,963
22,344
29,014
38,554
1口当たりFFO(注8)(注9)
円
640
1,683
3,961
4,733
6,141
FFO倍率(注9)(注10)
倍
87.8
46.0
17.5
14.9
13.3
デット・サービス・カバレッジ・レシオ
(注9)(注11)
倍
3.4
7.5
17.0
16.3
11.1
有利子負債額
百万円
164,754
164,231
175,231
205,231
269,381
総資産有利子負債比率(注12)
%
41.8
41.4
40.8
41.1
46.7
投資物件数
件
41
41
47
51
51
総賃貸可能面積
㎡
733,995.61
733,995.61
767,700.44
832,486.39
963,054.12
当期減価償却費
百万円
4,804
4,787
5,083
5,617
6,694
当期資本的支出額
百万円
3,367
4,497
4,769
6,917
9,572
当期運用日数
日
365
365
365
366
365
(注1)第22期の当期純利益には不動産等売却益(3,258百万円)が、また、第26期の当期純利益には不動産等売却益(2,346百万円)及び商標権売却益(398百万円)が含まれています。
(注2)1口当たり当期純利益は、当期純利益を期中平均投資口数で除することにより算出しています。
(注3)総資産経常利益率=経常利益/((期首総資産額+期末総資産額)÷2)×100
(注4)自己資本利益率=当期純利益/((期首純資産額+期末純資産額)÷2)×100
(注5)自己資本比率=期末純資産額/期末総資産額×100
(注6)配当性向=分配金総額(利益超過分配金総額は含まない)/当期純利益×100
(注7)NOI=不動産運用収益-不動産運用費用+減価償却費+固定資産除却損+資産除去債務費用
(注8)1口当たりFFO=(当期純利益+減価償却費+固定資産除却損+資産除去債務費用±不動産等売却損益-不動産等交換差益±特別損益(災害による損失を除く))/発行済投資口の総口数
(注9)第22期の1口当たりFFO、FFO倍率及びデット・サービス・カバレッジ・レシオは不動産等売却益(3,258百万円)を除いて算出しています。第24期の1口当たりFFO、FFO倍率及びデット・サービス・カバレッジ・レシオは特別利益(7百万円)及び特別損失(7百万円)を除いて算出しています。第25期の1口当たりFFO、FFO倍率及びデット・サービス・カバレッジ・レシオは特別利益(213百万円)及び特別損失(212百万円)を除いて算出しています。また、第26期の1口当たりFFO、FFO倍率及びデット・サービス・カバレッジ・レシオは不動産等売却益(2,346百万円)及び特別利益(398百万円)を除いて算出しています。
(注10)FFO倍率=期末投資口価格/1口当たりFFO
(注11)デット・サービス・カバレッジ・レシオ=(税引前当期純利益+減価償却費+固定資産除却損+資産除去債務費用±不動産等売却損益-不動産等交換差益±特別損益(災害による損失を除く)+投資法人債発行費償却+投資口交付費償却±金融派生商品損益+支払利息+投資法人債利息)/(支払利息+投資法人債利息+約定元金支払額総額(ただし、元本一括返済額を除く。))
(注12)総資産有利子負債比率=期末有利子負債額/期末総資産額×100
(注13)本書において特に記載する場合を除き、数値については記載未満を切り捨て、比率については四捨五入により表示しています。
② 事業の概況
(イ)投資法人の主な推移
本投資法人は、「投資信託及び投資法人に関する法律」(昭和26年法律第198号、その後の改正を含みます。以下「投信法」といいます。)に基づき、2005年11月10日に設立され、2006年6月14日に東京証券取引所不動産投資信託証券市場に上場(銘柄コード8985)いたしました。
本投資法人は、ジャパン・ホテル・リート・アドバイザーズ株式会社(以下「本資産運用会社」といいます。)に資産運用業務を委託しており、ホテルの持つ社会インフラとしての重要性と投資用不動産としての収益性に着目し、全部又は一部がホテルの用に供される不動産又は当該不動産に係る不動産同等物が本体又は裏付けとなっている不動産関連資産(以下「ホテル用不動産等」といいます。)を主たる投資対象として投資を行ってきました。
また、本投資法人は、2012年4月1日を効力発生日としてジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人(以下「旧JHR」といいます。)と合併(以下「本合併」といいます。)するとともに、本投資法人の名称につきましても日本ホテルファンド投資法人からジャパン・ホテル・リート投資法人に変更し、本合併以降当期末までに、11度にわたる公募増資を実施するとともに、国内外のレジャー需要が中長期的に期待できる「戦略的投資対象地域」を中心に、「高い競争力を持つホテル」を継続的に取得してきました。
こうした成長戦略の実行により、本合併以降、合計37物件で総額429,077百万円(取得価格ベース)となる新規物件を取得し、ポートフォリオの質を向上させつつ資産規模を拡大しました。この結果、当期末時点の保有物件は51物件で取得価格の合計は515,391百万円、発行済投資口の総口数は5,097,006口となっています。
(ロ)当期の運用実績
当期(2025年1月1日から2025年12月31日までの12ヶ月間)の日本経済は、米国の通商政策による影響がみられたものの、設備投資の増加や雇用情勢の改善等を背景に、緩やかな回復基調が続きました。
国内の宿泊・観光マーケットについては、堅調な国内宿泊需要に加え、訪日外国人(以下「インバウンド」といいます。)の数についても、2025年の年間で推計4,268万人、前年比+15.8%(日本政府観光局(JNTO))となり、年間における過去最高のインバウンド数を更新しました。2025年7月に日本で大災害が起こるとの風説により香港を中心としたインバウンドが一時的に減少したほか、同年11月に中国政府が日本への渡航自粛を要請したこと等により同月以降の中国からのインバウンドには一部影響がみられたものの、日本への旺盛なインバウンド需要のトレンド自体に変化はなく、インバウンド数の増加は継続しました。また、宿泊旅行統計調査(観光庁)における国内宿泊施設の延べ宿泊者数(速報値)のうち、2025年の日本人延べ宿泊者数は476百万人泊(前年比△3.8%)と底堅く推移した一方で、2025年の外国人延べ宿泊者数は177百万人泊(前年比+7.8%)と前年を超える水準で推移しました。結果として、2025年の国内宿泊施設の延べ宿泊者数は653百万人泊(前年比△0.9%)となりました。
このような良好な環境のもと、本投資法人は、2025年1月に博多中洲ワシントンホテルプラザ(譲渡価格4,610百万円)を売却し、2025年2月にヒルトン福岡シーホーク(取得価格64,350百万円)を取得しました。固定賃料のみの普通借家契約により賃料の上昇余地が限定的であった博多中洲ワシントンホテルプラザを売却するとともに、国内外のレジャー需要が中長期的に期待できる地域において高い競争力を持つホテルであるヒルトン福岡シーホークを取得したことにより、本投資法人のポートフォリオの質の向上を図りました。
内部成長については、本投資法人は、ホテルを運営する各ホテルの賃借人及びオペレーターとの緊密なコミュニケーションを通じ、客室改装を活かした宿泊単価の引き上げや、効果的なマーケティング施策・精緻なレベニューマネジメントに伴う国内外レジャー需要の高単価での取り込みなどにより、収益向上を図りました。併せて、運営コストの削減のための施策等にも継続して取り組み、利益率の向上に努めました。
また、本投資法人は、内部成長戦略の一つとして、収益向上及び競争力強化などを目的に戦略的CAPEXを実行しています。成長期待の高いホテルを選別し、客室やレストラン等の売上の増加を企図した戦略的CAPEXを実行することで、改装によるホテル収益の向上を図りました。
このような取組みの結果、本投資法人が保有するホテルの業績について、当期の変動賃料等導入28ホテル(注1)のRevPAR(注2)は18,545円(前年比+14.3%)、GOP(注3)は29,497百万円(前年比+16.5%)となり、いずれも前年を大きく上回りました。
なお、変動賃料等導入28ホテルの売上及びGOP等の経営指標については、「④参考情報 <参考情報>ホテル運営指標、売上及びGOP」をご参照ください。
(注1)変動賃料等導入28ホテルとは、以下の28ホテルをいいます。以下同じです。
神戸メリケンパークオリエンタルホテル
オリエンタルホテル 東京ベイ
なんばオリエンタルホテル
ホテル日航アリビラ
オリエンタルホテル広島
オリエンタルホテル ユニバーサル・シティ
オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパ
シェラトングランドホテル広島(アクティブインターシティ広島の主要施設)
オリエンタルホテル福岡 博多ステーション
ホリデイ・イン大阪難波
ホテル オリエンタル エクスプレス 福岡天神
ヒルトン成田
インターナショナルガーデンホテル成田
ホテル日航奈良
ホテル オリエンタル エクスプレス 大阪心斎橋
ヒルトン東京お台場
オリエンタルホテル京都 六条
ホテル オリエンタル エクスプレス 福岡中洲川端
ホテルJALシティ関内 横浜
イビススタイルズ京都ステーション
イビススタイルズ札幌
メルキュール札幌
メルキュール沖縄那覇
メルキュール横須賀
the b 水道橋
the b 池袋
the b 八王子
the b 博多
(注2)RevPARとは、販売可能客室数当たり宿泊部門売上(Revenue Per Available Room)をいい、一定期間の宿泊部門売上高合計(サービス料を含みます。)を同期間の販売可能客室数合計で除したものをいいます。以下同じです。
(注3)GOPとは、Gross Operating Profit(売上高営業利益)であり、ホテルの売上高から人件費、一般管理費等ホテルの運営にかかる費用を控除した残額をいいます。以下同じです。
(ハ)資金調達の状況
当期においては、2025年2月に、ヒルトン福岡シーホークの取得資金に充当するため、64,350百万円の新規借入れを行いました。当該借入れについては、借入期間を最長約7年とし、借入期間の長期化及び返済期限の分散を図りました。
併せて、当期に返済期日が到来した既存借入金について、合計31,000百万円の借入れを実行し、最長9年となる長期借入金による借換えを実現しました。うち19,400百万円については、グリーンローンによる借換えを行っています。また、2025年9月に償還期限を迎えた第13回無担保投資法人債2,800百万円については、同年9月に第14回無担保投資法人債(グリーンボンド)1,800百万円と第15回無担保投資法人債800百万円を起債し、償還に充当した上で、残額については、手元資金により償還しました。
なお、一連の資金調達のうち87,350百万円については、固定金利による調達又はスワップ契約締結による金利の固定化を実施しました。
これにより、当期末時点における有利子負債残高は269,381百万円、うち1年内返済予定の長期借入金22,780百万円、長期借入金212,901百万円、1年内償還予定の投資法人債13,100百万円、投資法人債20,600百万円となり、当期末時価LTV(注)は35.3%、当期末時点における有利子負債総額に対する固定金利比率は80.1%となりました。
(注)期末時価LTV=期末有利子負債額/(期末総資産額+含み損益)×100
含み損益とは、当期末を価格時点とする鑑定評価額の合計から当期末現在の保有資産の帳簿価額の合計を控除して算出した金額をいいます。以下同じです。
なお、当期末総資産LTVは46.7%です。
期末総資産LTV=期末有利子負債額/期末総資産額×100
本投資法人の当期末における発行体格付の状況は以下のとおりです。
信用格付業者
格付内容
株式会社日本格付研究所(JCR)
長期発行体格付:A+
格付の見通し:ポジティブ
株式会社格付投資情報センター(R&I)
発行体格付:A
格付の方向性:ポジティブ
(ニ)業績の概要
上記の運用の結果、当期の実績として、営業収益は45,564百万円、営業利益は31,052百万円、経常利益は26,748百万円を計上し、当期純利益は27,145百万円となりました。なお、物件売却に伴う売却益のうち1,818百万円については、圧縮積立金として積立てを行い、内部留保することとしています。
分配金については、当期未処分利益27,147百万円から上記の圧縮積立金繰入額1,818百万円を控除し、一時差異等調整積立金取崩額(分配金充当額)468百万円を加算した25,798百万円のうち、投資口1口当たりの分配金が1円未満となる端数部分を除いた全額である25,795百万円を分配することとし、この結果、投資口1口当たりの分配金は5,061円となりました。
③ 次期の見通し
(イ)今後の運用方針及び対処すべき課題
日本経済の先行きについては、物価上昇の継続や米国の通商政策による景気の下振れリスクなどに留意する必要があるものの、雇用・所得環境の改善や政府の各種政策の効果が、緩やかな回復を支えていくことが期待されます。
国内の宿泊・観光マーケットについては、国内宿泊需要は引き続き底堅く推移することが期待されます。インバウンド需要については、中国の動向に伴う影響が一定期間想定されるものの、他の国・地域からのインバウンド数の拡大により、旺盛なインバウンド需要は継続すると考えています。
本投資法人は、堅調な宿泊マーケットにおける積極的な需要獲得に努め、効果的なマーケティング施策や精緻なレベニューマネジメントを継続し、国内外レジャー需要を高単価で取り込むことにより、宿泊部門の売上の増加を目指します。併せて、非宿泊部門においても、改装等のハード面とサービス向上等のソフト面での両輪の効果的な取組みによって、売上の増加を図ります。コスト面については、これまで賃借人及びオペレーターと協働して実現してきた、各ホテルの業務の見直し等による効率的な運営を継続するとともに、リソースの最適化を図り、収益性の向上に努めます。さらに、特に成長期待の高いホテルを選別し、客室等の売上の増加を企図した戦略的CAPEXによるリノベーションを実施していく予定です。
本投資法人は、世界的に海外旅行の潜在的需要は大きく、インバウンドの宿泊需要は中長期的に成長を続けるものと見込んでおり、宿泊・観光マーケットは拡大していくと考えています。本投資法人は、個別ホテルの立地や競争力、オペレーターの能力(他のホテルとの差別化、コスト管理も含めた収益力の向上、需要の取込み等を実行する能力)に加え、とりわけ本資産運用会社のアセットマネジメント力が、ホテルの業績の差別化につながると考えています。
このような環境認識のもと、本投資法人は本資産運用会社と共に、ホテル特化型J-REITとしてこれまで培った経験を活かした差別化戦略を継続して実行し、以下の方針で運用を行っていきます。
内部成長
本投資法人は、主に固定賃料により「安定性」を確保するとともに、ホテルの特性に即したブランドの採用やHMJグループ(注)との連携等の多様な手段により、物件収益力と資産価値の向上を能動的に図るアクティブ・アセットマネジメント戦略の実行を通じて、「アップサイド・ポテンシャル」を追求します。
固定賃料物件においては、各ホテルが立地するマーケットの賃料水準あるいは賃借人の信用力及び賃料負担力を踏まえた適正な賃料の設定・維持に引き続き注力していくとともに、宿泊マーケットの状況に応じて賃料引上げ(売上歩合賃料の導入を含みます。)を目指していく方針です。
変動賃料物件や運営委託方式の物件においては、アクティブ・アセットマネジメント戦略の実践により変動賃料等の増加を図っています。
(注)HMJとは、本資産運用会社のグループ会社である株式会社ホテルマネージメントジャパンの略称です。HMJ及びその子会社をあわせて「HMJグループ」といいます。以下同じです。
A.変動賃料物件
本投資法人は、アクティブ・アセットマネジメント戦略により変動賃料物件の収益力の向上を図っています。ヒルトン、シェラトン、メルキュール及びホリデイ・イン等の世界有数のインターナショナル・ブランド並びにHMJグループのブランドであるオリエンタルホテル及びホテル日航等の国内有数のブランドを採用し、優良なオペレーターと共に、ホテルの業績向上を通じた変動賃料等の増加を目指します。本投資法人は、国内及びインバウンドのレジャー需要の拡大を考慮した広範な需要を取り込むための営業施策や、販売単価の維持・向上のための施策、複数物件を運営することによるコスト削減等のシナジー効果の実現をオペレーターに対して要請し、オペレーターと協働してホテルの業績向上に努めています。
一方で、引き続き、各ホテルの賃借人及びオペレーターと緊密に連携し、先々の国内外の需要の取込みに向けて、保有物件の特色を存分に活用した魅力的な商品造成や付加価値の提供、効果的なマーケティング施策、セールスチャネルの拡大を図るとともに、引き続きコストマネジメント及び運営の合理化に努め、ホテル収益の向上に向けた諸施策を推進していきます。
また、国内の宿泊・観光マーケットの状況や変化する顧客ニーズを的確に把握し、必要に応じて適切な戦略的CAPEXを実施し、ホテル収益の向上を図っていきます。2023年から実施しているオリエンタルホテル 東京ベイ及び2024年から実施しているラ・ジェント・ステイ札幌大通の客室改装については、2025年に全客室の改装が完了しました。また、沖縄ハーバービューホテルでは、プール、客室、レストラン等全館に及ぶ大規模改装を2025年から実施しており、プールを除く客室、レストラン等の改装は2025年に完了、プールについても2026年上半期に改装が完了する予定です。さらに、ヒルトン東京お台場において、2026年から2027年にかけて全館に及ぶ大規模改装を予定しています。加えて、2025年に取得したヒルトン福岡シーホークにおいても、客室、エグゼクティブラウンジ等の改装を2026年から順次実施していく予定です。
B.固定賃料物件
本投資法人は、適切に運営状況をモニタリングするとともに、賃借人の賃料負担力を注視し、業績が向上し賃料負担力が増加したホテルについては、賃料増額や変動賃料の導入等、ホテル収益の向上を本投資法人の収益増加につなげられるよう交渉を行っていきます。また、本投資法人では、各ホテルの差別化及び資産価値の維持・向上のため、継続的な施設・設備の維持・更新を目的とした投資を実施していきます。
外部成長
外部成長戦略については、中長期的に「国内外のレジャー需要」が期待できる地域において高い競争力を有するホテル用不動産等(ホテル・アセット)の取得を目指します。また、安定的な収益を確保するとともに、アップサイドの実現を図るため将来の成長性を意識したポートフォリオを構築します。
本投資法人は、物件の取得に際し、当該ホテル・アセットの建物及び設備といったハード面、ホテル賃借人及びホテル運営受託者の信用力(ホテル賃借人の賃料負担力を含みます。)、運営及び管理能力といったソフト面並びに需要の安定性及び成長性の基盤となるロケーションの面での優位性を重視します。
具体的には、ホテルの運営を行うにあたって求められる運営及び管理のノウハウ、投下資本及び立地の制約等から新規開業に係る参入障壁が高い「フルサービスホテル」及び「リゾートホテル」を投資対象とするほか、「リミテッドサービスホテル」については、ホテル賃借人及びホテル運営受託者の信用力及び運営能力並びに物件の築年、ロケーション、客室構成及び収益性等を重視しています。また、競争力の源泉が価格にのみ依存するようなシングルルームを主体とするバジェットタイプ(低価格帯)の宿泊特化型ホテルについては、特に選別的な対応を行います。
ホテル売買市場においては、ホテルマーケットの更なる成長への期待感及び金融機関のホテルに対する積極的な融資姿勢などを背景に、外資系投資家に加え、J-REITをはじめとする国内投資家もホテル投資を積極的に検討する動きがあり、売買が更に活発化していく可能性があります。本投資法人は、今後も多角的にマーケット動向を注視のうえ、ホテル特化型J-REITとして培ってきた強みと優位性を活かし、ホテルの収益構造の変化や投資環境の変化に柔軟に対応し、必要に応じてHMJ運営プラットフォームを活用しつつ、競争力の高い物件を取得することで、ポートフォリオの質の向上を伴う資産規模の拡大を目指します。
財務戦略
本投資法人は、財務の安定性・健全性の向上に注力し、緊密なコミュニケーション等により、取引金融機関との信頼関係を維持・向上し、レンダーフォーメーションの強化を図ります。
ホテルマーケットの更なる成長期待がある中、引き続き、借入コストに留意しながら、一定の固定金利比率の確保、借入期間の長期化及び返済期限の分散化を目指します。併せて、新規借入先の招聘や資本的支出の適正なコントロール等により、財務基盤の強化を図っていきます。LTVについては、時価LTVによるレバレッジコントロールを行い、原則として時価LTV40%を上限に運用を行っていく方針です。また、投資法人債の発行、グリーンファイナンスによる調達等の検討も含め、資金調達手段の一層の多様化を図っていきます。
負ののれんの活用方針
本投資法人は、「投資法人の計算に関する規則」(平成18年内閣府令第47号、その後の改正を含みます。以下「投資法人の計算に関する規則」といいます。)及び一般社団法人投資信託協会の「不動産投資信託及び不動産投資法人に関する規則」の一部改正に伴う、一時差異等調整積立金の取崩しによる分配を、2017年12月期(第18期)より開始しました。毎期、2017年12月期の一時差異等調整積立金の残高の50分の1の金額に相当する262百万円(以下「負ののれん50年償却額」といいます。)を一時差異等調整積立金の残高を上限に、分配金とするために取り崩す方針です(注)。
また、物件売却に伴う譲渡損失、資産の減損による損失、公募増資等に伴い発生する1口当たり分配金の希薄化、固定資産除却損及び収益への影響が大きい大規模改修工事による売り止め等が発生した場合、負ののれん50年償却額(262百万円)に上乗せして負ののれんの取崩しを行う方針です(注)。
(注)本方針は、今後の本投資法人役員会の決議等により変更される可能性があり、将来の一時差異等調整積立金の取崩しの方法、金額等を保証するものではありません。
サステナビリティへの取組み
長期的な持続可能性(サステナビリティ)の観点から、投資運用業界においてもESG(環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance))への配慮が、近年一層重要視されるようになっています。本投資法人は、ESGに配慮した不動産投資運用の実践が、投資主価値を最大化し本投資法人の魅力を更に高める上で重要であると認識しています。また、本投資法人は、投資主、ホテルゲスト、賃借人、オペレーター、PM会社をはじめとする取引先、地域コミュニティ、本資産運用会社の役職員等のステークホルダーの皆様と良好な関係を構築し、それぞれから期待される社会的責任を果たしていくことが重要と考えています。
本投資法人は本資産運用会社と共に、こうした考えを実践するため、ESGへの取組みの指針となる「サステナビリティに関する方針」を策定し、この方針に基づき、以下のような取組みを進めています。今後も、ホテル特化型J-REITとして地域に対する社会的責任を認識し、積極的な社会貢献活動を行っていきます。
■ESGに関わるマテリアリティ(重要課題)の特定
本投資法人は、ステークホルダーが求める期待と本投資法人の事業へのインパクトの二つの観点から、本投資法人にとってのESGに関わるマテリアリティ(重要課題)を2021年12月に特定しました。
■ESG及びグリーンビルディングに関する第三者認証の取得
本投資法人では、環境負荷低減に向けた取組みに対する信頼性・客観性を確認すべく、ESG及びグリーンビルディングに関する以下の第三者認証を取得しています。
・GRESB(注1)リアルエステイト評価
2025年のGRESBリアルエステイト評価において、「GRESBレーティング」では3スターの評価を獲得し、「Green Star」の評価を8年連続で取得しました。
・BELS(注2)評価
2018年2月にホテル日航アリビラ及びメルキュール沖縄那覇において、また、2024年2月に雨庵 金沢において、BELS評価を取得し、本評価を取得した本投資法人が保有するホテルは、合計3物件となりました。
・CASBEE(注3)建築評価認証
2020年4月にホテル用途の既存建築物として初めてヒルトン東京お台場においてCASBEE建築評価認証を取得し、2024年12月に同認証を再取得しました。また、2021年5月には、オリエンタルホテル福岡 博多ステーションにおいても同認証を取得しました。
・DBJ Green Building認証(注4)
2025年1月に神戸メリケンパークオリエンタルホテル及びオリエンタルホテル 東京ベイ、同年8月にオリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパ、ホテル オリエンタル エクスプレス 福岡天神及びMIMARU東京 新宿WEST、同年12月にヒルトン東京ベイ及びヒルトン福岡シーホークにおいて、同認証を取得しました。これらの認証取得により、同認証を取得した本投資法人が保有するホテルは合計10物件となります。
■気候変動への取組み
2021年11月に、本資産運用会社において、金融安定理事会(FSB)によって設置されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース:「Task Force on Climate-related Financial Disclosures」)による提言への賛同を表明し、国内賛同企業による組織である「TCFDコンソーシアム」に入会しました。
2022年8月には、気候変動のシナリオ分析による財務的影響度を含めたTCFDが推奨する4つの開示テーマに対する取組みを開示し、2023年2月には2050年までのCO2削減目標を策定し開示する等、数値面での目標の明確化を順次図っています。
■グリーンファイナンス・フレームワークの策定
環境に配慮した事業に充当するための資金調達の枠組みとして、2024年1月にグリーンファイナンス・フレームワークを策定しました。当該フレームワークに基づき、グリーンローンとして2025年3月に4,400百万円、同年9月に14,000百万円、同年11月に1,000百万円の借入れ、グリーンボンドとして同年9月に1,800百万円の起債を行いました。今後も、当該フレームワークに基づき調達した資金を活用し、環境改善を図る取組みの推進に努めていきます。
■ホテル賃借人等と協働した取組み
ホテル賃借人等と協働し、地域の環境保全活動や地域コミュニティの文化芸術活動、子育て支援等のホテルの特性を活かした活動に取組んでいます。
■従業員に向けた取組み
本資産運用会社において、役職員がクオリティーの向上に向けて高いモチベーションを保ち、中長期に働くインセンティブを持てるよう、働きやすく魅力的な職場環境を整備し、継続的に専門的教育・研修の機会を提供しています。
■ESGレポートの発刊
2023年3月より、年に1回ESGレポートを発刊しています。
(注1)GRESBとは、不動産会社・ファンドのESG配慮を測る年次のベンチマークであり、個々の不動産を対象としたものではなく、不動産会社・REIT・不動産ファンドを対象としてサステナビリティへの取組みを評価しています。なお、GRESBレーティングは総合スコアに基づく相対評価です。
(注2)BELS(建築物省エネルギー性能表示制度:「Building-Housing Energy-efficiency Labeling System」)とは、国土交通省が定める建築物省エネルギー性能評価表示制度です。
(注3)CASBEE(建築環境総合性能評価システム:「Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency」)とは、建築物の環境性能を評価し格付けするもので、省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配慮はもとより、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を総合的に評価するシステムです。
(注4)DBJ Green Building認証とは、環境・社会への配慮がなされた不動産(「Green Building」)を支援するために、株式会社日本政策投資銀行(DBJ)が創設した認証制度です。
(ロ)決算後に生じた重要な事実
1.資産の取得について
本投資法人は、2026年3月13日付で以下のとおり資産を取得しました。
取得資産の名称
ハイアット リージェンシー 東京
特定資産の種類
不動産信託受益権及びホテルに付随する動産
用途別区分
ホテル
所在地(住居表示)
東京都新宿区西新宿二丁目7番2号
取得日
2026年3月13日
取得先
合同会社ミッドタウン東京
取得価格(注)
126,000百万円
(注)取得価格には、取得費用、固定資産税・都市計画税等の精算額、消費税及び地方消費税は含まれていません。
2.資金の借入れについて
本投資法人は、上記「1.資産の取得について」に記載したハイアット リージェンシー 東京の取得資金の一部に充当するため、以下のとおり資金の借入れを行いました。
借入名称
借入先
借入金額
(百万円)利率
(注)
借入実行日
元本
返済期日
担保・
返済方法タームローン
127三井住友銀行
みずほ銀行
三井住友信託銀行
三菱UFJ銀行
SBI新生銀行
日本政策投資銀行
千葉銀行
22,000
基準金利
+0.250%
2026年
3月13日
2027年
3月15日無担保
無保証
・
期限一括返済タームローン
128三井住友銀行
みずほ銀行
三井住友信託銀行
三菱UFJ銀行
SBI新生銀行
りそな銀行
日本政策投資銀行
大和ネクスト銀行
8,000
基準金利
+0.275%
2026年
3月13日2028年
3月31日無担保
無保証
・
期限一括返済タームローン
129三井住友銀行
みずほ銀行
三井住友信託銀行
三菱UFJ銀行
SBI新生銀行
りそな銀行
日本政策投資銀行
大和ネクスト銀行
関西みらい銀行
10,000
基準金利
+0.350%
2026年
3月13日2030年
3月29日無担保
無保証
・
期限一括返済借入名称
借入先
借入金額
(百万円)利率
(注)
借入実行日
元本
返済期日
担保・
返済方法タームローン
130三井住友銀行
みずほ銀行
三井住友信託銀行
三菱UFJ銀行
SBI新生銀行
りそな銀行
日本政策投資銀行
千葉銀行
大和ネクスト銀行
関西みらい銀行
25,000
基準金利
+0.400%
2026年
3月13日2031年
3月31日無担保
無保証
・
期限一括返済(注)利払日に支払う利息の計算期間に適用する基準金利は、直前の利払日の2営業日前(初回の利息計算期間は借入実行日の2営業日前)における全銀協1か月日本円TIBORとなります。ただし、タームローン127につきましては、基準金利は借入実行日の2営業日前における全銀協12か月日本円TIBORが適用されます。
3.新投資口の発行について
本投資法人は、2026年2月25日及び2026年3月3日に開催した役員会において、以下のとおり新投資口の発行に関する決議を行い、国内一般募集及び海外募集については、2026年3月9日に払込が完了しています。
(1)新投資口発行(国内一般募集及び海外募集)
発行新投資口数
:807,000口
内、国内一般募集
:493,911口
内、海外募集
:313,089口
発行価格
:1口当たり79,086円
発行価格の総額
:63,822,402,000円
払込金額(発行価額)
:1口当たり76,584円
払込金額(発行価額)の総額
:61,803,288,000円
払込期日
:2026年3月9日
(2)新投資口発行(第三者割当)(注)
募集投資口数
:38,709口(上限)
払込金額(発行価額)
:1口当たり76,584円
払込金額(発行価額)の総額
:2,964,490,056円(上限)
払込期日
:2026年4月7日
割当先
:SMBC日興証券株式会社
(注)本第三者割当における発行数の全部又は一部につき申込みが行われず、その結果、失権により本第三者割当における最終的な発行数がその限度で減少する場合、又は発行そのものが全く行われない場合があります。
(3)資金使途
今回の国内一般募集及び海外募集における新投資口発行の手取金61,803,288,000円については、上記「1.資産の取得について」に記載したハイアット リージェンシー 東京の取得資金の一部に充当しました。
④ 参考情報
<参考情報>ホテル運営指標、売上及びGOP
各数値については、ホテル賃借人等から提供を受けた数値に基づいて記載していますが、これらの数値につきましては監査等の手続を経ているものではなく、個々の数値・内容の正確性・完全性について保証できるものではありませんのでご留意ください。
ADR(注)及びRevPARは円未満を四捨五入、売上及びGOPは百万円未満を四捨五入して表示しています。また、客室稼働率及び百分比率は小数点以下第二位を四捨五入して表示しています。
変動賃料等導入28ホテル
2024年12月期
2025年12月期
実績
前期比
実績
前期比
客室稼働率
上期
81.1%
5.2pt
85.2%
4.1pt
下期
85.2%
4.3pt
87.8%
2.6pt
通期
83.1%
4.8pt
86.5%
3.4pt
ADR
(円)
上期
18,014
11.0%
20,062
11.4%
下期
20,934
9.1%
22,755
8.7%
通期
19,518
9.9%
21,440
9.8%
RevPAR
(円)
上期
14,601
18.6%
17,087
17.0%
下期
17,829
15.0%
19,978
12.1%
通期
16,224
16.5%
18,545
14.3%
売上
(百万円)
上期
31,388
16.1%
36,187
15.3%
下期
38,320
15.4%
41,927
9.4%
通期
69,708
15.7%
78,114
12.1%
GOP
(百万円)
上期
10,954
29.4%
12,922
18.0%
下期
14,373
16.0%
16,575
15.3%
通期
25,326
21.5%
29,497
16.5%
(注)ADR:平均客室販売単価(Average Daily Rate)をいい、一定期間の宿泊部門売上高合計(サービス料を含みます。)を同期間の販売客室数合計で除した値をいいます。以下同じです。